百年読書講座 vol.03 課題図書 プラトン『ソクラテスの弁明』
百年読書講座の三回目を実施しました。
今回の課題図書は、プラトンの「ソクラテスの弁明」(以下、「弁明」と略)
紀元前399年のギリシャが舞台のお話です。
ソクラテスが若者を腐敗させたという告発から、
裁判にかけられ、弁明が繰り広げられます。ちなみに結果として、361対140で、死刑となります。
教育とか、裁判とか、政治とか、出てきますが、
紀元前4世紀の日本は弥生時代。文字もなければ、国家的体系もありません。
すごい差ですよね。段階的な社会として同じ段階になるのは、古墳時代の終わり頃か奈良平安時代ごろですね。1000年弱のの差です。
でも、未来である今を見てみると、ギリシャも日本もさほど変わりません。
経済的な見方だけをすれば、ギリシャは破綻寸前で、むしろ日本の方が先んじているのかもしれません。どっちもどっちだけど。
とはいえ、このケースだけではありますが、
1000年の差も、大同小異となることがあるということですね。
時間的感覚として良い教訓かもしれません。
さて、「弁明」の内容ですが、
突っ込みどころ満載です。
有名な話ですが、ソクラテスは「無知の知」を説くことによって、多くの人に嫌われました。
ソクラテスは、デルフォイの神託により神託探究法なる知の探究法を見出し、
それを多くの賢者と呼ばれる人々に行使します。
そのことによって、彼らは自らが無知であることを認識していないことに気がつきます。
「彼らは無知なのを認めないが、私はその点では無知なのを認めている。神様が私を賢者といったのは、それが理由だろう」と悟るのです。
まずかったのが(嫌われることを悪いこととすれば)、たくさんの賢者に「君はまだ無知だよ」と言っちゃったこと。それで嫌われます。
さらに、そのようなソクラテスの手法を、たくさんの青年が真似するようになります。
これによって「無知だ」と指摘された大人たちが怒り、その矛先を指導者に「見える」ソクラテスへ向けるのです。
そんなこんなで、裁判にかけられます。
というところで、興味がある方は読んでみてください。
ソクラテスが行った弁明を忠実に描いているのではなく、
プラトンがソクラテスから学んだことを裁判という舞台を使って描いていると思って読んだ方がいいかもしれません。
次回の課題図書は、