見えるものと見えないもの
ポンティが言っていました。
見えるものが見えないものとして、見えるものを見えさせる。
って。
中秋の名月の今日。
その見えるものは、雲、真っ只中だ。
何もみえない。
ただ、今日において、見えることと見えないことは、本来重要ではない。
お月見とは、
見えるものを見えないものとして、見えるものを見えさせるようにするのである。
きっと愛でるとはそういうことである。
確実にポンティが言った意味とは違うけど。
なかなかいい夜だ。
豆を挽き、湯を沸かし、少し冷まして、フレンチプレスに注いで、
少し濃く出し、苦いコーヒーで、団子を食べる。
そして、相も変わらず、僕の愛機は使い物にならない。
蚊は多いし、団子に虫が飛んでくるけど、
ランタンの音と、虫の声が聞こえて、
僕は基本的にこれだけで十分だ。