津屋崎・毎日の大切なこと

津屋崎で日々暮らすなかで、耳にし、目にし、口にする、いろんなモノゴトを、自分の軸を持って綴ります。

地域における教育的役割

学校は、

教科学力が高く、協調生の高い人材の育成を行うことが良しとされる。

いわゆる社会的に優秀な人材の育成だ。

必ずしもそうある必要はないのだが、受験というハードルがそれを助長しているように見える。

違う!と言いたくなる方もいるかもしれないが、「実質」という表現をすれば、異論はないだろう。

それはそれで必要。 

 

一方で、地域は、

それを手放すことが許される。

 

現に、学生企画実行部の活動では、

「優秀な人材の育成をしたい!」という思いは一切ない。

 

彼らがやりたいことを、

表出させ形にすることを手助けしているだけだ。

こちらが用意した何かへ、

引っ張りあげるようなことは行なっていない。

 

たまに、

企画部の部員たちの感性がすごいね。

素晴らしい教育をしているね。

と言われることがある。

 

そう言っていただけて、

嬉しいことに変わりはないが、

それは、明確に私の成果ではない。

 

彼らは、そもそも素晴らしい感性を持っているのだ。

そして、そもそも素晴らしい感性をもっていない子供に、

僕はまだ出会ったことがない。

 

 

おととい体験に来た中学生も、

自閉症のことを書いてある本を読んで、僕は自閉症の人のための企画をしたいんだ!」

「僕は、歴史が好きで一つ一つの意味とか物語が知れることがとても楽しいんだ!」

「私の好きなことは、夜空の星を眺めることです。明日も頑張れる気がするから」

彼らはみんな1年生だ。

 

この時点で十分に素晴らしい。二つ三つ丁寧に質問すれば、さらに深い答えが返ってくるだろう。

 

学校では、いわゆる優秀な人材を育てることで時間がいっぱいかもしれないが、

地域では、それを手放せるので、彼らをしっかりと見つめることができる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それが、

地域の教育的役割の

「フェイズ1」なんだと思う。

これはかなり精神的というか、気持ちの問題なのだと思う。

彼ら一人一人が、気にかけてあげる存在であると想う気持ちなのだと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「フェイズ2」は、その感性を表出させる機会をつくることだ。

ここから実質的に時間を使うことになる。

聞いてあげて、質問してあげて、幅や深さを広げたりしてあげる。

これで彼らは、居場所を感じ始めるだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フェイズ3は、地域が、表出した感性を形にできる環境になることだと思う。

 

企画部の部員たちは、

地域の自治会長や子ども会の会長に、彼らだけで協力のお願いに行っている。

 

自治会長の家がわからないときは、郷づくり協議会の事務局長に直接聞きに行ったりもするし、

チラシを置いてもらうために、様々な施設へ自分たちでお願いに行っている。

 

また、活動のためのスポンサーを募ったり、

イベント出店で資金を稼いだり、

イベント参加費などで活動資金を調達している。

 

最近では、彼らの活動に賛同してくれている自治会長さんは、

区の費用を使って、彼らのイベントに参加してくれていたりもする。

 

この数年で、部員たちのやりたいことに、

地域が協力してくれる空気感というのが、かなりできて来た。

まだまだ自治会長や郷づくりレベルだが、

部員たちはのびのびと、

そして図々しくお願いに行ける環境ができて来ている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そう!彼らの褒めるべきところは、ここである!!

ここである!ここだ!!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少なく一部の中学生ではあるものの、

若干ダッシュぎみで、

自分たちで考えたことを、

お遊びではなく、

地域に協力してもらいながら、

形にして、

しかも、地域社会に実際に影響を与える、

その前例を作ったのだ。

(彼らの活動にすでに延300人以上の方が参加してくれている。)

 

そして、さらに、中学生は思った以上にできる!という前例を作ったのだ。

 

さらに何よりも、彼らのやりたいことに地域が協力するという前例を作ったのだ。

 

ここにどれだけの可能性があるか。

理解できるだろうか。感じ取れるだろうか。

 

まだまだ学校や保護者の常識になるまでは、

時間がかかるだろうが、

 

まずは、フェイズ1まで持っていきたい。

でも、これは、1にして全なり。ではある。

 

f:id:nobukicorner:20180517001047j:plain

↑地域の見守り効果を向上させるために行った、

小学生と高齢者の交流イベントの感想。92歳のおばあちゃん。

地域をより良くするということが存在するとしたら、それは心の話だ。

誰かの心を豊かにできたなら、それは地域をより良くしたということと、同義だろう。

こんな感想をもらえる仕事は、大人でも簡単にできるもんじゃない。

This is nobuki speaking.