百年読書講座 vol.01 課題図書 ショーペンハウアー1851『読書について』
11月から開始した、百年読書講座ですが、
本日(2015/12/13)、一回目の講座を開きました。
- 作者: ショウペンハウエル,Arthur Schopenhauer,斎藤忍随
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/07
- メディア: 文庫
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主著が『意志と表象としての世界』。
- 作者: ショーペンハウアー,Arthur Schopenhauer,西尾幹二
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/08
- メディア: 新書
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今回の『読書について』は、20ページほどの短い文章。
僕がこれを初めて読んだのは、18歳の頃でした。
内容は、
無知は富と結びついて愚者を生むという文章から始まり、
知の獲得に関わる読書について、辛辣に書かれたものです。
・多読は愚者を作る
・読んだものすべてが自分のものになるわけではない
・熟考しないと意味がない
・才能がなければ、読書に呼び覚まされることはない
・分厚い図書目録のほとんどが10年後は忘れ去られる
・クズの様な人間と同じで、クズの様な本は、絶えず生まれ続ける
・悪書は、精神に対する毒だ
学校で教えてもらう読書(主体的学習の基本的作業)の常識・必要性を、
覆されただけでなく、圧倒的な説得力を感じたのを今でも覚えています。
この本を通してショーペンハウアーが言いたかったことは、
彼の時代の著作家たちへの失望(金のためにウケのいいものを書くことに対して)
内容のない本に飛びつく社会への失望(時代遅れにならないためにみんな同じ内容の本を読んで喜む。数年で打ち捨てられるような本に飛びつくことに対して)
からくる、読書のあるべき姿、さらには著作家のあるべき姿だと思っています。
1851年の書籍なので、もう150年以上前の時代になりますが、
私たちにも同じことが言えますね。
本もさることながら、ニュースや、新聞等の媒体すべてにおいて、
ウケのいい(お金になる)表現と目的によって営まれているし、
それに飛びつく人間が多すぎる。
事象に対する客観性の欠落です。
この本は非常に示唆に富む書籍です。
ちなみに、リヒテンベルクという人物の文章を、ショーペンハウアーは好んで読んでいたので、「リヒテンベルク先生の控え帖」も合わせて読んでみることをお勧めします。
次回の課題図書は、
シュベーグラーの『西洋哲学史 上巻』です。
ソクラテス以前の哲学者の話から、アリストテレスまでの概要が書かれた部分になります。
哲学史上のと言ってしまうと、私たちにとって身近さが失われてしまいますが、
さまざまな科学の思考的な素材が出来上がったころにあたります。
西洋哲学史をやるのは、一回「理解できない!」という経験をさせてからが良いかと思いましたが、受講生のレベルが思った以上に高かったので、先にやってしまいます。