「21世紀の資本」トマ・ピケティがなぜ最近騒がれているのか。
ここ数週間のうちに、
トマ・ピケティが、いろんな紙面に登場しています。
今朝は、西日本新聞にも登場しました。
正直、そこまで騒がれることをやってないだろ、と思うので、
僕の雑感を書きます。
何をやった人かというと、
「CAPITAL of the twenty-first century」という本を書いた人です。
この本には、資本家と労働者の格差是正を主題として、その問題解決の提案が記されています。
2013年には、執筆されていて、昨年英語版が出版、年末には日本語訳も出版されて、今になって日本で取りざたされています。
そもそも「21世紀の資本」という名前なんですが、
どこの誰だかわかりませんが、
「これぞ、21世紀の資本【論】」なんて書いてしまっているので、
甚だトチ狂った捉え方をされています。
資本論といってしまうには、あまりにも表層的な内容です。
過去200年の経済的なデータを基にした格差に関する資料を集めて、たくさん考察しています。
それが、内容のほとんどです。
歴史的な観点で見ることもできる本だと思います。
文中で、もっともよく出る公式
r>g
r=資本収益率
g=経済成長率
投資によって得られる利益の成長率を、
労働者が働いて得られる利益の成長率が、上回ることはない、
という不等式です。
資本主義経済では、格差が広がり続けることを証明した式と理解すればいいと思います。
これを最初に見た時、「何を今更!!」と思いました。
資本主義経済では、資本家がいて、労働者がいるわけです。
資本家がお金を出して仕事を作り、労働者が働き、生まれた収益の中から資本家が利益を確保し、払えるだけを労働者に賃金として支払うという仕組みです。
労働と賃金は、産出される利益とは等価ではないことを、忘れてはいけません。
こんなことは、「本物」の資本論の中に書かれています。
だから、資本家と労働者の間には、埋められない経済格差があるのは当たり前なのです。
なければ、仕事がなくなりますから。なくならないにしても増えなくなります。
トマさんは、最終的に、資本家が負担を背負う形で、富の再分配を提案しています。
「資産」への累進課税を行えばいいというのが、強く言われていますが、
騒がれる理由がここにありますよね。
そうです。弱者目線です。
そもそも、なぜこの本が、注目を浴びたかというと、
アメリカで、格差是正の後ろ盾の理屈として利用されたからです。
「ウォール街を占拠せよ」という格差是正を求めるデモを代表とした、
アメリカの社会情勢を後ろ盾する理屈が、この著書に記されていたのでしょう。
昨年、アメリカではベストセラーだそうです。
日本では、だいたいこんな理由で流行っていますよね。
・まず、前提として、アメリカで流行ったという箔がついている。
・そして、この本は、弱者の目線で、かなり好意的な内容となっている。
・つまり、これを取り扱えば、雑誌等々の印象が良くなる。
という論理が働いて、広く取り扱われているように思います。
本当に本の内容に、共感しているのであれば、
フリーペーパーで出すべきですよね。
なには、ともあれ、格差是正のために、資産へのグローバルな累進課税をすることが、解決策になるとは、思えません。
まず、資本家と労働者がフェアじゃないし、正しい判断のもと資本を運用する人が今後育たなくなります。この施策は、あまりにも資本家を悪者扱いしすぎています。
検討の余地ありです。
さて、この辺にして、最近、良く目にしたり、耳にするからといって、
知った風に思わず、手にとって読んでみるといいと思います!